cafe レイン

甘い夜を過ごした私達は翌日、遊園地へと出かけていた。
さすがクリスマスとあって、周りはカップルだらけだ。


「あ、次はあれ乗りましょうよ!」

ジェットコースターに乗り終わった後、目についたのはメリーゴーランドだ。

「待って待って。少しペース早い。楓は子供か」

「ご、ごめんなさい。疲れましたか?」

慌てて彼の顔を覗き込む。顔色は悪くないみたいで少しだけホッとした。


「すこーし。ジェットコースター連ちゃんはきつかった。ちょっとベンチで休んでいい?」

「はい! お水買ってきます、私」

「いや、大丈夫。隣座って」

近くにあったベンチに座ると丸山さんは私の肩に自分の頭をちょこんと乗せる。温かい重み。

「はあ~、ほんっとはしゃぐ楓可愛い」

「ま、丸山さん」

「まあ、俺も年甲斐もなくはしゃいでいるんだけど」

丸山さんも楽しいと感じてくれているなら嬉しい。
こういう場所、得意そうには思えなかったから。


「これから色んなところへ行こうな」

「はい」

「温泉とかいいな」

「いいですね」

温泉旅行とか絶対に楽しい。考えただけでワクワクする。

「楓はどこに行きたい?」

「そうですね。映画行きたいです」

「恋愛映画?」

「ふふ、どうしましょうか」

「ははっ、俺寝ちゃうじゃん。感想とか言い合いたいし、SFとかアクションとかにしよ」

「そうしましょう」

きっとこれからの未来。一つずつ、それは実現されるはず。


その時だった。
ぽつりと私の頬に何かが触れた。
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