cafe レイン


「確かに女性から行動することが珍しくないかもしれないけど、それが出来るかどうかは別。
振られるかもしれない確率が高いのに、行動になんて簡単に移せないでしょ。
当たって砕けろって精神ならいけるだろうけどさ」

「でも、きっかけって作るものじゃないですか? 何もせずにいたって、相手も同じように好きになんてなってくれませんよ」


ムッとしながら反論する沖くん。
沖くんの言っていることは尤もだと思った。

彼から好きになってもらえるだなんて思っていない。
私が誰もが振り向くような美少女だったらわからないけれど、そうじゃない。

隣にいる律ちゃんは、ゆるふわな茶色い綺麗な髪の毛で、肌も透き通っているように白い。
目もぱっちりとしているし、凄く可愛い。明るい性格だし、男女問わず人気者だ。

向かいにいる沖くんだって、カッコいい。
黒い髪の毛を無造作に後ろに流している。奥二重で少し眠そうに見える目。
だけど、仕事をバリバリとこなすし、誰にでも人懐っこいから女子社員から人気があった。


私だって綺麗になる努力はしていると思う。
特にオーナーと知り合ってからは可愛くありたいと思うようになった。

前まで後ろで束ねるだけだった髪の毛も下ろすようになったし、メイクの時間もしっかり取っているし。
うまくいっているかどうかは謎だけど、ファッション雑誌を買っては研究していた。

二人の顔面偏差値が高いから、余計に自分が劣っているように思えるのかもしれないけど。

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