cafe レイン
「大石さんってそういう人がタイプなんですか。なんか意外ですわ」
「沖みたいなふわふわっとしている男性苦手なんだよね」
「ふわふわってなんすか。俺こう見えて学生時代剣道やってましたから」
「え、そうなんだ」
拗ねたような口調で言った沖くんの言葉に私は驚いた。
剣道やっていたからなのか。姿勢がいいなあとは思っていた。
「全国大会で優勝するぐらいには強かったですよ」
「優勝! 凄い! 沖くんって非の打ちどころがないや」
「あはは、小野寺さん、それはさすがに褒めすぎです。俺にだって欠点の一つや二つぐらいあります」
「その妙に自信家で鼻につくところとかね」
謙遜する沖くんに、律ちゃんが茶々を入れる。もう、律ちゃんは本当に沖くんに対して、ああ言えばこう言うなんだから。
「大石さん、俺のこと嫌いですよね!?」
「そんなことないよ。可愛い可愛い後輩だよ」
「ぐぬぬぬ。絶対に楽しんでいる」
奥歯を噛み締める沖くんを見ながら、楽しそうにケラケラっと笑った律ちゃん。
「そういう沖は? 彼女とかいないの?」
「俺ですか。いませんよ」
「モテるのに?」
「モテるからって彼女が出来るとか、それは別問題じゃないですか」
「手当たり次第付き合ったりとかしてないの」
「なんで俺、そんな女たらしになってるんですか。本当にもう……」