cafe レイン
律ちゃんと沖くんの会話を私は相槌を打ちながら聞いていた。
そっか、沖くん彼女いないんだ。
はあっと大きく溜め息をついた後、沖くんが
「俺にだって気になる人ぐらいいますよ」
と言ってぐいっとビールを飲む。
「えっ、そうなの?」
律ちゃんは目をぱちくりとさせ尋ねる。それに沖くんは頷いた。
「まあ、しいて言うならそのオーナーですかね」
「……は?」
「……え?」
私と律ちゃんの声がかぶる。
「恋愛ごとに疎そうな小野寺さんが好きになった相手とか、気になります」
「はあ~~~そういう意味か。びっくりしたじゃない。てっきり好きなのかと思ったよ」
「そんなわけないです。俺、男興味ないですから」
「だ、だよね。あはは。私も驚いちゃった」
律ちゃんがツッコミを入れた後、私も安堵の息を漏らす。
急にオーナーって言われたら、誰だってオーナーに好意を持っていると勘違いしてしまうと思うよ。沖くん。