cafe レイン
「小野寺さんも好きですよね、コーヒー」
「うん。ジュースとか、紅茶よりは好きかな」
「ですよね、あ、インスタントでも美味しい飲み方とかないんですか?」
止まることなく沖くんがオーナーに話しかける。
「あー、いい方法ありますよ。インスタントコーヒーをフライパンで乾煎りするんですよ」
「えっ、フライパンで?」
驚いて私がそう口にすると、頷きながらオーナーが答えた。
「はい、焦げやすいんで弱火で注意しながらやってください。味に深みが増すんで」
「やってみたいです、それは」
「是非やってみてください。はい、サンドウィッチとスープお待たせしました」
そう言ってから、綺麗に盛り付けされたお皿とスープが入ったカップを私と沖くんの前に置いた。
今日のサンドウィッチも美味しそうだ。
レタスとトマト、それにベーコン。BLTサンド。
「うわ、うまそう」
沖くんもそう声をあげ、すぐにかぶりついた。私もそれに続くように、一口かじる。
レタスのシャキシャキ具合と、ベーコンの香ばしさ、トマトの酸味がなんともいえない。
今日も、凄く凄く美味しい。
「うっま。こりゃ小野寺さんが教えないわけですよ」
「ちょ、ちょっと沖くん」
沖くんのシャツを引っ張ると、彼はハッとしてからバツが悪そうに笑った。