cafe レイン
「いや、毎日通ってるんでそんなに美味しいなら教えろって言ってたんですよ。
一人の時間邪魔しちゃ悪いかなーとは思ってたんですが、やっぱ気になるじゃないですか。
俺だって美味しいランチ食べたいもん」
「あれ、でも前にお連れの方と来たことありますよね?」
沖くんの言葉をあまり気にしていないのか、軽く笑ったオーナーは首を捻ると私に尋ねる。
私がここに誰かを連れてきたのは沖くんで二人目だ。
一人目は律ちゃん。
一度だけ通い始めたぐらいに連れてきたことがある。
それを覚えていてくれたの?
……どうしよう。凄い嬉しい。
「あれ、俺もしかして間違ってました?」
首を捻りながら苦笑するオーナーに私は慌てて首を振って否定した。
「いえ! あってます。連れて来ました」
「よかった。ですよね。俺、人の顔を覚えるの結構得意なんで」
「驚きました。ここを知ってすぐに連れて来たので、まさか覚えていてくれていると思わなくて」
「通ってくれているってことは、俺の店が好きなのかなって思えて嬉しいんですよ。いつもありがとうございます」
そう言って、ニッコリと笑ったオーナー。あまりにも素敵な笑顔に、胸の高鳴りが止まらない。
ドキドキし過ぎて、聞こえているんじゃないかなって不安になるぐらい。
「オーナーさん、イケメンだわあ。俺、惚れちゃう」
沖くんが女の子みたく高い声を出しながら、オーナーに話しかける。