cafe レイン
「そうだね、だからなるべくそれに集中出来るように作業しておこうかなって」
「偉いですねえ。何か手伝えることあったら言ってくださいね」
「はは、ありがとう。でも沖くんも沖くんでやることあるだろうし、気持ちだけ受け取っておく」
沖くんは本当に優しいな。自分だってやることたくさんある筈なのに、私の手伝いまでしていたら就業時間内に終わらないんじゃないかな。
パソコンに向き合って、キーボードを叩いていると律ちゃんが「おはよう」と私の背中に声をかけてきた。
「律ちゃん、おはよう」
「はあ~。二日酔い。気持ち悪」
そう言いながらどさっと思いっ切り椅子に座る律ちゃん。顔色は確かに良くない。
「え、珍しいね」
「聞いて。私、昨日彼の家に行ったんだ。一週間振りだよ? ちょっとはラブラブ出来ると思うじゃん? なのに、即寝。即、寝! 疲れているのはわかっているよ。
でも、でもさ。私がお風呂に入っている最中に寝られていたら、もう何も言えないよね!? ヤケになって一人で深酒だわ。そしてこのザマ。はあ、今日は甘いものたっくさん食べてやる」
一気に捲し立てた律ちゃんは、はあっと大きく息をつくと小さな声で「気持ち悪い」と漏らした。
気のきいた言葉も出て来なくて、あははと苦笑しか出来ない私。
「今日の昼は私もレインに行くから」
キッと私を睨みつけるように言う律ちゃんに驚いた声を出す。