cafe レイン
その日もいつものように定食屋か、ラーメン屋にでも行こうかと思っていた。
ううん、今日はラーメンな気分かな。
そう思い、ラーメン屋へと向かうとお店の前に長蛇の列が出来ていた。
何事と思って驚いた。こんなに混雑しているの見たことない。美味しいからそりゃ並ぶこともあったけど。
後々沖くんから聞いた話だが、どうやらテレビでここのお店が放送されたらしい。
仕方ないからと、私は別のお店を探すことにした。
ただ、なかなか心惹かれるお店が見当たらない。ラーメン食べるならあそこがいいからなあ。
と、うろうろしていた時、路地裏にあった建物の扉が開く。
カランっと鳴った鐘の音。それと一緒に出てきたのは若い女性二人組。
その扉の前に行くと、小さくかけられた看板を見る。そこには〝cafeレイン″の文字。
レイン? 初めて知った。こんなとこにカフェがあるなんて。
この路地には他にお店がないから、来る機会がない。
ちょうどいいや。なんか目立たない場所にあって隠れ家っぽいし、ここでご飯食べよう。
私はその扉を開ける。
さっき聞いた鐘の音がまたカランと鳴った。
それから香ってくるコーヒーの匂い。いいな、コーヒーの香りが漂う店内。
「いらっしゃいませー。お好きな席どうぞ」
カウンターに座っていた男性がそう声をかける。
この人、店長とかかな? 見る限り他にスタッフっぽいのはいないし。
店内は思っていた以上に狭い。中には一人客が三人。
カウンターに二人とテーブル席に一人。
私は一番奥のテーブルに腰をおろすと、メニューを開いた。
そんな多くない品数。あ、でもコーヒーの種類とっても多いな。
豆とか詳しくないけど、聞いたことある銘柄もあった。
お水を運んでくれた男の人が、「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか」とお水を置きながら尋ねてくる。