cafe レイン
「昨日、残業が終わって久しぶりにラーメン食べて帰ろうかと思ったら、丸山さんと偶然会って一緒に食べることになってね。
それで連絡先交換したの」
「え、えええええ」
律ちゃんは相当驚いたのか後ずさりしながら、何度も目をぱちぱちとさせる。
沖くんは至って冷静で
「よかったじゃないですか! おめでとうございます!」
と、声をかけてくれる。
「待って待って。冷静になろう、落ち着こう。どうしてそうなる。何で連絡先交換ってなるの。急展開すぎる。何この漫画的展開」
律ちゃんはこめかみを押さえながら、独りごとのように呟く。律ちゃんがそう言いたくなる気持ちは理解出来る。
私だってまだ信じられない。
だけど、ケイタイに確かにある彼の連絡先がこれが夢でないことの証明だった。
「落ち着くのは大石さんですよ」
はあっと大きく溜め息をついた後、じとっとした目で律ちゃんを見る沖くん。呆れ顔だ。
それからこっちに顔を向けると、
「話すようになったきっかけは俺かもしれないけれど、連絡先を交換したのは紛れもなく小野寺さん自身の力ですから。
自信を持ってくださいね」
そうやって言ってニカっと沖くんは笑った。