cafe レイン



「さーて、行きますか」


そう言って先に歩き出す丸山さんの後ろを付いて行く。
駅の方面へ向かうのかと思っていたら違っていて、cafeレインのある方面だった。

定食屋はこっちの方面にあるのだろうか。
いや、でもここら辺の定食屋は網羅していると思っているんだけど。

レインに通う前はラーメン屋、定食屋によく通っていたから詳しいと自負している。
いつもそういうところばかり通っているから、レインに気付けなかったってのもあるんだから。

不思議に思いながらも黙って付いて行った。


「小野寺さんって嫌いな食べ物とかあるんですか?」


少しだけこちらの方へ顔を向けると、丸山さんが尋ねる。

「嫌いな食べ物ですか。んー……特にはないですね。しいて言うなら辛い食べ物が苦手です」

「辛い食べ物か、なら安心です」


どういう意味かハテナマークを浮かべていると、彼がははっと笑って言った。
余程不思議そうな顔をしていたに違いない。


「新しいメニュー考えていて、試作品を今度食べてもらおうかと思って。あ、もちろん試作品なのでお代はいりませんから」

「新しいメニューですか! いいですね」

「毎日、中身は変えているけどいつもサンドウィッチって飽きませんか?」

「そんなことないですよ。毎日凄く美味しいです。こんな組み合わせあるんだって驚きもあるし」

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