cafe レイン
だから
「気が合いますね」
なんて、思わず言ってみたりして。彼を直視は出来なかったから前を向きながらだけど。
「そうですね。小野寺さんと過ごす休日は楽しそうです」
冗談めかして言ったのに丸山さんが肯定するもんだから、言葉に詰まってしまった。
ずるいと思う。お客さんとカフェオーナーってさっき丸山さん自身が線引きしたのに。
そんな期待持たせるようなこと言わないで欲しい。
「あ、着きました。ここです」
そう言われ、俯いていた顔をあげる。そこにあったのは大衆居酒屋だった。
中に入ると店員にテーブルに案内され私たちは腰を下ろした。
「どこかご飯屋とか思ったんですけど、好きにつまんだり出来るしこっちの方がいいかなって」
「ありがとうございます。よく来るんでこういうところは落ち着きます」
「よかった~……!」
背もたれにもたれかかり、安堵の声を漏らす丸山さん。彼の言葉の意味がわからず、クエスチョンマークがいくつも頭の上に浮かんだ。
呆けてる私に気付くと姿勢を正した彼が口を開いた。
「定食屋好きだとは言っていたけど、急にこんな居酒屋連れてきたら幻滅されないかなって思ってたんですよ」
「幻滅…?」
更に意味がわからなくて首を傾げる。
「俺一応カフェオーナーだし。お洒落なバーでも連れてってくれるとか考えませんでした?」
丸山さんの発言に目を真ん丸にすると、すぐに私は吹き出した。