cafe レイン
「ん~そんなないですよ。最近はアルハラとか言いますからね」
「アルハラってなんすか」
「アルコールハラスメント。飲むのを強要したりとかですね」
「全部ハラスメントになっちゃうのもそれはそれでって感じはしちゃいますね。とか言うけど、俺はそういうのが嫌で辞めたんですけど」
「え、丸山さん会社勤めしていたんですか」
初耳だ。でもそれはそうか。カフェのオーナーになる前にサラリーマンをしていてもなんら不思議ではない。
「してましたよー。小野寺さん覚えているかわからないですが、よく店に来るヤツ俺の元同僚なんですよね」
「カウンターでよく話している人ですか?」
確か望と呼ばれていた人。スーツ姿の彼を頭に思い浮かべる。
「そうそう。俺が気を許せる相手なんですよね」
「仲良いんですね」
「あ、そういえば小野寺さんも一緒に来ていた二人と仲良しだよね」
丸山さんがさしているのはきっと律ちゃんと沖くんだろう。確かに二人とも仲が良いと言えると思う。
「あのカウンターで話した彼、営業とかすごい向いていそうですよね」
「沖くんですか? 向いていると思います。本当に仕事出来るんですよ」
「なんとなくわかります、それ」
沖くんは本当に優秀だから彼がほめられるのは先輩として素直に嬉しかった。
それから私と丸山さんはたくさん話をして店を後にした。支払おうと思ったのに、結局また丸山さんにご馳走になってしまった。