cafe レイン
翌日。
出勤した私は律ちゃんと沖くんを見つけると、早速飲みに誘った。
だけど、律ちゃんは彼氏とデートの予定があったらしく断られた。
「まじでごめん。本当に行きたいんだけど」
「え、いいよいいよ。沖くんと二人で飲みに行ってくる」
「なんで沖なんかと。く、私が話聞きたかったのに。絶対埋め合わせするから」
本当に悔しそうに顔を歪める律ちゃんに私は笑った。沖くんは複雑そうな表情をしていたけれど。
律ちゃんが来れないのは寂しいけれど、いつだって機会があるし。
近いうちにまた誘おう。私はそう心に決めた。
仕事終わり。私と沖くんが向かうのはいつもの居酒屋。
注文は決まってレモンサワーと生ビール。
乾杯をすると沖くんが口を開いた。
「で。オーナーさんと何があったんすか」
あまりにど直球でレモンサワーを吹き出しそうだった。
「どこから話そうって感じなんだけどさ」
「まあ、ゆっくりでいいんじゃないですか。夜は長いし。金曜日だし。明日休みだし」
「ふふ、そうだね。ありがとう」
「……いえ」
少し照れくさそうにする沖くんに笑みが零れる。
本当にどこから話そうって感じなんだよなあ。二人で出かけた時から二人には話していないから。
「なかなか話せなくてごめんね。二人はすごい応援してくれていたしさ、沖くんのおかげで話せるようになったし。感謝してるよ」
「俺は何も。きっかけ作っただけでそれからは小野寺さんの力ですから」