ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
それにしても。
「器用、だね」
「お前は不器用過ぎるな」
みるみるうちに仕上がる綺麗な巻き髪に、触らぬ“髪”に祟りなし的な、気付くべきでなかった気持ちがじわりじわりと渦巻いていく。巻き髪だけに。
料理さばきといいコテさばきといい、なんで彗大、こんな女子力高いの。
彗大に見せたくて頑張ってたのに、それを志半ばでその張本人が難なくこなすとか、本末転倒過ぎるでしょ。
ここは出しゃばらないところでしょ!
そりゃぁね、巻き髪の女の子、今までいっぱい周りにいただろーしね?
「…………。」
巻き髪女と楽しく過ごした後の、
“巻き髪リセットからの巻き髪にまた戻るまでの工程”を間近でみる機会も……それなりにあっただろーしね。
「……………。」
巻いてみたいなーとか言って、ジャレながら実践とかもしてきたかもしんない、だろーしね。
「ん。こんなもんか」
魚も女もコテもサバきまくりで。
そりゃ、女子力も高くなるって話だよね!
「優李」
……一体どんだけ経験積んできてんのっ!こんのタラシ男めぇ!
ちゅ。
コテを床に置く音、ではない。
遅れてコト、と今度こそコテの置く音がして、もう一度、ちゅ、と。
彗大の唇が降ってくる。
「もーダメ」
え?……え?!
不意に根を上げるような声がしたかと思うと、今仕上げたばかりの髪を急にくしゃつかせて、思い切り抱きしめられる。
「久しぶりに触ったらヤバイ。ナニコレ。悶え死ぬ。」
更にぎゅっと抱きしめられ、現金にもさっきまでの怒りが瞬時に鎮火する。
わたし、チョロ過ぎるっ!
「なんだそのクソ可愛いの。それも計算……?」
「……?!」
「もう可愛すぎて意地悪できないし」
「?」
「置き手紙だけで消えた仕返し。」
「!!」
「さっきまでスネてた顔も、簡単に機嫌直す今の顔も、めっちゃクル。もう押し倒していい?」
「!!」
そして大火災の予感しかしない火種に着火する。
(なんじゃこの炎上リレー!!)
「別に、優李が想像したよーな……いかがわしい理由じゃないから」
「!!」
彗大、どこまでわたしの脳内を?!
わたし、そんな分かりやすい顔してた?!
余りにゲスいベクトルの妬き方に、日頃の残念な女子力が垣間見られてーー
わたしの方が悶え死ぬわぁー!!
「普通になんでも器用なだけ」
「普通に嫌味か」
トドメを刺すな!ソツ無し男め!
「器用、だね」
「お前は不器用過ぎるな」
みるみるうちに仕上がる綺麗な巻き髪に、触らぬ“髪”に祟りなし的な、気付くべきでなかった気持ちがじわりじわりと渦巻いていく。巻き髪だけに。
料理さばきといいコテさばきといい、なんで彗大、こんな女子力高いの。
彗大に見せたくて頑張ってたのに、それを志半ばでその張本人が難なくこなすとか、本末転倒過ぎるでしょ。
ここは出しゃばらないところでしょ!
そりゃぁね、巻き髪の女の子、今までいっぱい周りにいただろーしね?
「…………。」
巻き髪女と楽しく過ごした後の、
“巻き髪リセットからの巻き髪にまた戻るまでの工程”を間近でみる機会も……それなりにあっただろーしね。
「……………。」
巻いてみたいなーとか言って、ジャレながら実践とかもしてきたかもしんない、だろーしね。
「ん。こんなもんか」
魚も女もコテもサバきまくりで。
そりゃ、女子力も高くなるって話だよね!
「優李」
……一体どんだけ経験積んできてんのっ!こんのタラシ男めぇ!
ちゅ。
コテを床に置く音、ではない。
遅れてコト、と今度こそコテの置く音がして、もう一度、ちゅ、と。
彗大の唇が降ってくる。
「もーダメ」
え?……え?!
不意に根を上げるような声がしたかと思うと、今仕上げたばかりの髪を急にくしゃつかせて、思い切り抱きしめられる。
「久しぶりに触ったらヤバイ。ナニコレ。悶え死ぬ。」
更にぎゅっと抱きしめられ、現金にもさっきまでの怒りが瞬時に鎮火する。
わたし、チョロ過ぎるっ!
「なんだそのクソ可愛いの。それも計算……?」
「……?!」
「もう可愛すぎて意地悪できないし」
「?」
「置き手紙だけで消えた仕返し。」
「!!」
「さっきまでスネてた顔も、簡単に機嫌直す今の顔も、めっちゃクル。もう押し倒していい?」
「!!」
そして大火災の予感しかしない火種に着火する。
(なんじゃこの炎上リレー!!)
「別に、優李が想像したよーな……いかがわしい理由じゃないから」
「!!」
彗大、どこまでわたしの脳内を?!
わたし、そんな分かりやすい顔してた?!
余りにゲスいベクトルの妬き方に、日頃の残念な女子力が垣間見られてーー
わたしの方が悶え死ぬわぁー!!
「普通になんでも器用なだけ」
「普通に嫌味か」
トドメを刺すな!ソツ無し男め!