ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
もーすみませんでした。
未熟なのは俺です。俺はとんでもなく自分勝手でした。

実感して初めてこのモヤモヤの恐ろしさに気づく。
こんなモヤモヤ飲み込めるか!
それを優李には飲み込まそうとしてた俺、最低じゃねーか。


「彗大」

「あーくそ。どんだけ俺が優李を好き過ぎるか分かったか!」

「うん」

くそ!めちゃくちゃ可愛い喜び方しやがって!俺、瀕死だぞ!心停止寸前だぞ!何喜んでんだよ!でもそれが嬉しいって俺もどんだけだ……!


「優李、めちゃくちゃ好きなんだけど」

「うん」

「ずっと一緒に居たいんだけど」

「うん」

「急とかじゃなくて本当に本気だから」

「うん」

ああ。

せっかく用意してたプランはメチャクチャだし。
またしても勢いと勘違いされそうな仲直りからのこの流れ。


でも、今度は無かったことにさせない。





「俺と結婚して」

「それは保留」








「……。」

「保留♡」




は、はぁ?!

無かったことにはされなかったけど!

(めっちゃキメ顏で「無かったことにはさせない。」とか思ってたのは、もう口が裂けても言えないし思えまい。)


まさかの保留!(しかも2度押し!)


「あ、彗大を信じてないわけじゃないよ?けど、わたしって割と律儀で堅実派だから」


え?どういう話だ?
いやらしい話を冒頭でもぶち込んだが、経済的な面でも俺は至って優良物件だぞ?
律儀なら尚のこと、俺に義理を通してくれていいのに。

頭に浮かぶのは、大量の疑問符。

一般的には常識ラインを逸脱する早期即決型プロポーズだが、優李にその常識ラインは不問というものだ。(ここは断定できる)

俺の駆け巡るような一連の考えが分かりやすく読めたらしい。

優李はもう一度「だから彗大がどうって話じゃないよ」と付け足して、目眩のする答えを辛くなるほどキラキラした笑顔で言い切った。


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