ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
知るタイミングが悪すぎる。
この良好な関係にいよいよ亀裂が入るかも、と弁明を考えるつもりが。

「……協力すればいいんだろ」

存外、あっさり協力すると言われて、多分わたしは油断してしまった。

彗大に甘え過ぎてしまった。


彗大の気持ちを知っていたのに。

「んーじゃ、ちょっと色々試してみよっか」

彗大ならそれも知ってるから大丈夫と侮った。

「ちょっと待て!」

「なんで俺がされてんの?!」

自分の為だけの行為で振り回して。

「彗大の、焦れる音、魅せて?」

彗大の気持ちを弄ぶ。

「彗大」

浅い口付けの合間にわざと名を呼び、ちゅ、ちゅ、と更に可愛くキスを降らせば、途端に悩ましげな、我慢する吐息をじわりと落としだす。

なんて、扇情的な色だろう。

もっと魅たくて、色々とちょっかいを出すと

「ちょ、待て……」

またしてもご褒美のような色が降ってくる。

「あ、今の声、めっちゃ萌える」

「ちょ、」

「もっともっと♡」

だから。

「彗大?」

「ちょっと……悪い」

彼の色がスゥっとなくなり、予告なく離れそうになった時は、がむしゃらに彼を押し倒していた。
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