ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「おい……」

「えへ!バレちゃったー?」

「は?」

途端に弾ける笑顔でわかりやすくぶりっ子して俺に絡みつくあざと女子。

「実はしょうこちゃんに、毒々しいくらいの色彩強い画、頼まれちゃってて!」

「あー、だからハロウィンイベントか」

「へへ、どう彗大にお願いしようか考えてたから丁度良かった!流石は彗大だね♡」

「それはドーモ」

クソ、相手がコイツでなきゃこんな計算高い女、絶対フルシカトだっつーのに。

絡みついた腕を一度引っぺがし、再度、肩を掴み寄せて歩き出す。(肩グイとかあるなら多分それだ。)

「え?」

「サクサク歩け!毒々しい綿菓子、買いに行くんだろ?」

「あ、うん、そう。買う!行く!」

毎回振り回されるだけじゃ進歩がねぇから、今日は絶対エスコート側!振り回す側だ!(まずは物理的に!)

いつもより本調子じゃないようなギクシャクした喋り方は気になるが、用件を知った以上はスマートにこなしてやる。


「わーこんなグロイフランクフルト初めて見たー!」

ケラケラ笑いながら、指の形をしたフランクフルトを見せつけてくる。

げ。近くで見ても割とリアルとか、大量生産のくせに生意気な。

「つーか、ケチャップやたら多いな」

「んー血糊代わりかな?でも、リコピンが多いからいいんだって」

指形フランクフルトをつーとなぞって、ペロリとケチャップを舐めとる舌に綺麗な赤が乗る。

つーか計算ってわかってんのに!
指形フランクフルト相手にイラっとする俺、誰か一発殴ってくれ!

「彗大もいる?」

ぺこちゃんみたいな舌使いでわざと口の端にケチャップを残す。

つーか、計算ってわかってっけど!
ムラっとするからマジで止めろ。
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