ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
まさかとは思ったけど、度肝ぬかれるわ!

さてはコイツ、全然人の話聞いてねぇな?

「おい」

「なぁに」

「人の話ちゃんと聞けよ」

「聞いてるよー」

「どうした?」

「なにが」

「今日のお前、」

「彗大!」

コイツの怒鳴り声を初めて聞いた。いつもヘラヘラしてるのに、一体何、

そこで、俺の思考は一時停止する。

「……、っ、?!」

ケチャップのかすかな味と共に、ぬるりとした感触が口内を占拠する。

何が一体起こってこうなったのかはわからないが、俺は今、好きな女からなかなか熱烈な口付けをお見舞いされている。

「、……っ、……っ、」

しかも相変わらず
絶妙にうまい!めちゃくちゃヤバイ!
顔を固定していた手が、徐々に首に絡みついて、より深みに俺を誘い込む。

つーか、何これ。夜間とはいえカップル比率高いとはいえ、アラサー男子が公衆の面前で何チュッチュやってんだよ。痛ェーよ。拒否れよ。
何?もしかしてコレ、公開処刑的な新手の拷問か?

「………………っ」


……結局コイツが離れるまで俺も素直に堪能してしまったわけだが。

俺が真意を問おうとする前に、まだ絡みついたままの手で俺の髪をクシャつかせて、またしても爆弾を投下してくる。

「えっち、する?」

あかん!俺、振り回される気しかしねぇ!
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