ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「しょうこちゃーん、今日だよね?カレシの会社の人くるの。」
「カレシちがーう!」
即否定されたので、あれ?元カレだったっけ?と追跡質問してみたところ、心底不快そうな笑顔を向けられたので、これ以上の深追いは止めることにする。
(覚えていたら、今度は酒の入ったユルイ席で聞いてみよう。)
「で、なんで来るんだっけ」
「アンタと画のコラボしに」
「えー聞いてないー。やだよー。そーゆーチームプレーみたいのむり〜」
私だって一応社会人で、しょうこちゃんの多大なる力があっての、画でゴハンが食べてけてる人間だからさ。
こーゆー企画の最終決定権はしょうこちゃんの一存っちゃあ一存なんだけど。
出されたテーマに従うのは別としても、基本は自分の自由な発想で描くから“社優李”の世界観が保たれるのであって。
感性の違う人との作業は、お互いの感性を相殺しあうだけっていうか?
完全、不協和音でしかないのになー。
……という私の持論は、しょうこちゃんなら百も承知のことでの企画だろーからもう口にだしては展開しないけど。
「ビジネスって不自由だわー。」
膨れながらも、イコール渋々了承の意であるその答えを返す。
ところが予想外にもしょうこちゃんは意味ありげに目を細めて、わざと、ここ一番の声で耳打ちした。
「だーぁいじょうぶ、よ♡今回はアンタにとっても悪くない話」
「……しょうこちゃん。その近付いた時の吐息交じりの今の感じヤバイ!おかわり!」