ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
語気を強めながら苦しそうに見つめるコイツに、しかしすぐ、止めるための苦し紛れの言い訳をされたのかと疑いの目を向ける。

「ほ、本当に女!」

「さっき男って言ったじゃねーか」

「それはっ」

「それは?」

「…………っ」

「黙るなら普通に続けるけど」


指をつ、と際どい場所にもう一度差し入れると、カラダを捩りながら声を大にして観念した。

「彗大にもちょっとは妬いて欲しかっただけ!」

「……は」

いやいや、今日は初っ端から焦らされるわ妬かされるわ色々ヤキモキしましたけど。

「分かってたつもりだったけど、あんな色っぽい人に目の前で色仕掛けされまくってるの見たら……気分悪い」

オイオイ、ちょっと待て。コイツに限ってまさかの計算ナシのデレ展開?

「あんな“ご機嫌とりついでについ言っちゃいました”なプロポーズになんて死んでも喜ばないし」

睨むように言ったそれは、言葉とは裏腹に喜んでしまったことを悔しがっているという顔をしている。

ヤバイなんだコイツ。

「男の影が見えた途端、衝動だけでヤられるよーな女にも、死んでもなりたくない!」

これってめっちゃ好きだと言われてんのと同じことじゃねーの。

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