ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
ついでじゃねーし!とか、俺は本気だし!とか。
どうせ言ったって疑うのはコイツだから。
俺を一番欲しがるように。
自分から欲しがるように。
全力で誘惑してやる。
「え?彗大、ちょっ、んっ、ん……?」
唇を食むような淡い口付けに、今度はコイツから口を開くのをあえて待つ。
動揺と迷いがはっきりと映るコイツの目に、俺は迷いのないまっすぐとした熱を向けた。
今までとは全く違う口付けが、コイツに伝わるだろうか。
「優李」
浅い口付けのあと、初めてコイツを名前で呼ぶ。
呼んでしまえば、止められなくなると今までずっと呼べなかった名前。
本当は、一番最初に口にする名前は、お前が一番好きだと予想する声で呼びたかった。
が、俺も今日は余裕がないらしく声がかすれる。
それが優李にどう響いたかはわからない。
口を開けて俺を見つめる優李に、今度こそとびきり甘く濃い蜜を与えるように、角度を変えてゆっくり深く探り入っていく。
「優、李」
口付けの合間にもう一度名を呼び、縫い止める為に掴んだ手のひらに、つっ、と指を這わせてみれば、ピクリと反応して、軽く握り返された。
長く、長く、時間をかけて、しつこいくらい丁寧に。
どれくらい時間が経ったかはっきりとはわからないが、見たいとせがまれた特番の音楽番組の中盤から“こう”なって、それがもうエンドロールを出している。
混ぜかえしすぎて唾液が粘度を増してきた頃には、解放した優李の手は俺の髪を貪っていた。
「彗、大」
「ん」
煌々と明るい照明に、火照って涙目になった優李の表情が晒される。
「、……キス……長過ぎっ」
「…っは、可愛くてしたくなるんだから仕方ね、だろ」
「!」
お互い息切れるほどとか、どんだけ色ボケしてんだか。
いつもより遥かに分かりやすく真っ赤に染まるのは、恐らく酒のせいだけではない筈だ。
「可愛かったら、誰でも、こんな感じなの」
「誰でもじゃねー、よアホ。まだ伝わんねーのか」
これも、本気で言ってないことは分かる。
拗ねる仕草の優李も可愛いが、今は拗ねる要素をゼロにまでしないと意味がない。
どうせ言ったって疑うのはコイツだから。
俺を一番欲しがるように。
自分から欲しがるように。
全力で誘惑してやる。
「え?彗大、ちょっ、んっ、ん……?」
唇を食むような淡い口付けに、今度はコイツから口を開くのをあえて待つ。
動揺と迷いがはっきりと映るコイツの目に、俺は迷いのないまっすぐとした熱を向けた。
今までとは全く違う口付けが、コイツに伝わるだろうか。
「優李」
浅い口付けのあと、初めてコイツを名前で呼ぶ。
呼んでしまえば、止められなくなると今までずっと呼べなかった名前。
本当は、一番最初に口にする名前は、お前が一番好きだと予想する声で呼びたかった。
が、俺も今日は余裕がないらしく声がかすれる。
それが優李にどう響いたかはわからない。
口を開けて俺を見つめる優李に、今度こそとびきり甘く濃い蜜を与えるように、角度を変えてゆっくり深く探り入っていく。
「優、李」
口付けの合間にもう一度名を呼び、縫い止める為に掴んだ手のひらに、つっ、と指を這わせてみれば、ピクリと反応して、軽く握り返された。
長く、長く、時間をかけて、しつこいくらい丁寧に。
どれくらい時間が経ったかはっきりとはわからないが、見たいとせがまれた特番の音楽番組の中盤から“こう”なって、それがもうエンドロールを出している。
混ぜかえしすぎて唾液が粘度を増してきた頃には、解放した優李の手は俺の髪を貪っていた。
「彗、大」
「ん」
煌々と明るい照明に、火照って涙目になった優李の表情が晒される。
「、……キス……長過ぎっ」
「…っは、可愛くてしたくなるんだから仕方ね、だろ」
「!」
お互い息切れるほどとか、どんだけ色ボケしてんだか。
いつもより遥かに分かりやすく真っ赤に染まるのは、恐らく酒のせいだけではない筈だ。
「可愛かったら、誰でも、こんな感じなの」
「誰でもじゃねー、よアホ。まだ伝わんねーのか」
これも、本気で言ってないことは分かる。
拗ねる仕草の優李も可愛いが、今は拗ねる要素をゼロにまでしないと意味がない。