儚き夢…
「名前は…?何処の人なの…?」
私は小さな声で聞いた。
別に聞こえていなくても良いと思った。
『土方歳三。新撰組屯所に住んでいる。』
土方と名乗った男の人がそう言うと、夜市が叫んだ。
『俺達を連れて行ってくれ!!何だってするから!!だから頼む!!俺達を新撰組に入れてくれっ!!』
土方さんは後ろを向いたまま言った。
『それは出来無い。』
『どうしてだよ!?助けられたって…俺達にはもう行く所が無いんだよっ!!村も焼かれた。親も親戚も死んだ…これからどうやって生きて行けば良いんだよ!?どうして助けたんだっ!!』
夜市は叫び続けていた。
土方さんはゆっくりと振り向いた。