儚き夢…
『琴…?』
夜市が帰って来た。
最近の夜市の癖…
“ただいま”より先に私の名前を呼ぶ。
まるで私が此処に居るか確かめるかの様に。
「お帰り夜市。」
『ただいま…』
何時もならここで夜市は私をきつく抱き締める。
でも今日はそれをしなかった。
心無しか…元気も無い気がする。
「何かあったの…?」
何かがあったのだけは確かだろう。
夜市のその雰囲気からそれが読み取れた。
『明日…なるべく朝早く屯所に来い。と副長が言っていた。』
ドクン…
体中の血が何時もの倍の速さで動いているかの様に感じられた。
そう…来たんだ…
“依頼”が…