占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
「そ、そんなことないと思いますよ。」

10歳の子供が考えることだもの。
それが普通だよね。
そんなことで、才能がないなんて思われないと思うんだけど…



「那月はね…
駐車場を作ったんですよ。」

「え?」

「良い場所だったから、いつも満車だった。
それで、奴はどうしたと思う?」

「どうしたって…?」

「駐車場で儲けたお金で、あいつは僕の公園に次々と遊具を買ってくれたんだ。
そして、自販機を置くようにしてくれた。
そのおかげで、公園には子供たちが良く遊びに来るようになったし、自販機のおかげでわずかとはいえ、お金が入って来るようにもなった。
……あいつは、子供の頃から僕なんかよりずっと優れてたんだよ。
そして、父はそのことも見抜いてた。」

すごい…
10歳の子供が、駐車場を作って、それでお金を稼ぐことを考えるなんて…
那月さんは確かに優れた人だよね。
だからこそ、あそこまで成功したんだろうけど。



「それからも、あいつはどんどん資産を増やしていった。
家を出る時には、新築のマンションを自分で買ってね。
僕とはえらい違いだよ。
僕は、おじいさまに買ってもらったマンションに移ったっていうのにさ。」

「その時も、ご両親は何も?」

「あぁ、何も言わなかった。
僕がお金のないことは、両親も知っていたのに、何も言わなかったよ。
父は、僕には期待してなかったからね。」

優紀さんのイメージがちょっと変わった。
まさか、優紀さんがこんなにも大きなコンプレックスを抱えてたなんて、今まで少しも気付かなかった。
優紀さんは、ただ素直に真っすぐに育ってきたイメージだったけど、そうじゃなかったんだ…
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