占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
「あ、あの…」

「なんだ?」

「え…あの…そ、その…
優紀さんは…その、沙也加さんのことがお好きなんですか?」



本当に聞きたかったのはそれじゃない。
『那月さんは沙也加さんのことがお好きなんですか?』って訊きたかったのだけど…
なんだか訊くのが怖くて、私は違うことを口にしていた。
怖いって感じる時点ですでに、本当はわかってたんだと思う。
那月さんが沙也加さんのことを好きだってことを。
那月さんは、私から視線を外して、独り言みたいに言った。



「優紀だけじゃない。
……さーやも優紀のことが好きなんだ。」



そうか…そういうこと…
那月さんは、沙也加さんが優紀さんのことを好きだって知ってたから…
だから、手が出せなかったんだ。
そして、優紀さんは、那月さんが沙也加さんのことを好きだって知ってたから、沙也加さんを諦めた…



切ないね…
みんな、人の事ばかり考えて…



「そ、そうなんですか…
優紀さんと沙也加さんは、ご結婚されるでしょうか?」

「当然だ。
さーやをこれ以上待たせたら、俺が優紀を許さない!」



(那月さん…そんなに沙也加さんのことを……)



沙也加さんと私じゃ比べ物にもならないのに、それでもやっぱり胸が痛む。
それに、那月さんが可哀想にも思えてしまう。



良いのかな?
本当に沙也加さんを諦めて良いのかな??
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