占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
「な、那月さん…
私…好きな人なんていませんでした!
自分が結婚できるとも思ってなかった。
それに、あの時、助かったのは本当です。
あの時、那月さんと出会わなかったら…私、今頃どうなっていたことか…
だ…だから、そんなこと、考えないで下さい!」

「無理をするな…
俺は、人の気持ちがよくわからないところがある。
だから、こんな酷いことを犯してしまったんだ。
心配はするな。
これから先、おまえが生きていくのに困らないだけのものは支払う。
この家もおまえにやる。」

「ば、馬鹿なことを言わないで下さい!
私、そんなものほしくありません!
私は…私は、那月さんと今後も一緒にいたいだけなんです!」

「なぜだ…金と家はやると言ってるんだ。
俺と一緒にいる必要はないだろう?」



那月さんは、私をお金目当ての女だと思ってたんだ…
そのことがとても悲しくて、涙がこぼれた。



(私は金目当ての同居人…
那月さんにはそんな風にしか思われてなかったんだ…)



何年か一緒に暮らして来て、そんな風にしか思われてなかったなんて…
全身の力が抜けて、私は倒れそうになってしまった。
< 157 / 177 >

この作品をシェア

pagetop