占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
綺麗な景色を見て、新鮮でおいしいものを食べて、夜はのんびりと温泉に浸かって…
みんなで驚いて、みんなで笑って…
これが、優紀さんと沙也加さんの新婚旅行だってことを忘れるくらい、私は心からこの旅行を楽しんでいた。



本来なら、私なんかとは出会うことさえなかったようなセレブな三人と、今、私は家族みたいな感覚で一緒にいる。
そのことが不思議で、そして嬉しかった。



那月さんのご両親には明らかに疎ましがられてたし、伶佳さんにはあからさまに意地悪もされた。
でも…今の沙也加さんと優紀さんは、そんな様子はほとんどない。
私がセレブ出身じゃないことはわかってるだろうけど、それでも一応家族のように扱ってくれている。
それは、私のことを那月さんの奥さんとして認めてくれてるってことなのかもしれない。



(違うのに…私は、形ばかりの奥さん…
本当はただの同居人なのに…)



そのことで、罪悪感を感じてしまうこともある…
申し訳なくて、恥ずかしくて…
そして、情けなかった…



でも、どうしようもない。
これは、耐える以外、方法はない。
苦しいけど、耐えるしかないんだ…
< 161 / 177 >

この作品をシェア

pagetop