占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚




「美味しいわね。」

「そ、そうですね。」



沙也加さんは、ワインをルームサービスで注文した。
まだ私にはワインの味も良くわからないけど、きっと高級なワインだろうな。
とても飲みやすくて、どちらかというと、お酒というよりジュースみたいな感じだ。
それはともかく、私だけに話したい話って一体何なんだろうと、気になって仕方なかった。



「あかねさん…私ね。
あなたにお礼が言いたかったの。」

「お礼…ですか?」



そんなこと言われても、何も思い当たらない。
沙也加さんにお礼を言われるようなことなんて、私、何もしてないのに…



「私がこうしてゆうくんと結婚できたのは…あなたのおかげですもの。」

「え?そ、そんなことないです。
私はなにもしてません。」



二人のなれそめを詳しく知ってるわけじゃないけど…
でも、どう考えても、私、何もしてない。
沙也加さん、何か勘違いしてるのかな?



「私、あなたのおかげで、頑張ろうっていう勇気をもらえたのよ。」



ん??そんなことあったっけ?
いや、ないない。絶対にない。
沙也加さんとは喋ったこと自体、そんなにないのに、私が沙也加さんの気持ちを動かすようなことを言った覚えなんて、なおさらないもの。


< 164 / 177 >

この作品をシェア

pagetop