占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚




「今日はとりあえず服を買いに行こう。」

朝食の席で、那月さんが唐突にそんなことを言いだした。



「え?服ですか?」

「そうだ、いくらなんでもそれはないだろう。
本来ならばもっと早くに準備すべきだったのだが、遅れてしまってすまない。」



……ん?
『いくらなんでもそれはないだろう。』っていうのは、もしかして私の服のことでしょうか?
一応、これはおでかけ用の服で、セーターも毛玉はほとんどついてないし、パンツも裏起毛の良い奴なんだけど、那月さん的にはだめってこと??
コートなんて5000円もした奴なんだけど…



「あ、あの…私ならこれで満足です。
これ、けっこう温かいんですよ。
それに、コート着てたら下なんて見えませんし、まだ4~5年しか着てませんから。」

私がそう言うと、那月さんは怪訝な顔をする。



「とりあえず、服は買いに行く。」

「……そ、そうですか。」



そっか、やっぱり、これじゃあだめなんだね。
一緒に歩くのに体裁が悪いってことなのかな。



反論するのもなんだし…
私は無理して愛想笑いを振りまいた。


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