占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
「お待たせいたしました。」

もうすっかり冷たくなったお茶を、テーブルに置く。



「……よし。
まぁ、良いだろう。」

マ、マジっすか!?
合格出来た喜びに、思わず叫んでしまいそうになるのをぐっと堪えた。



「では、おまえとは画廊の傍の喫茶店で知り合ったことにしよう。」

「は、はい。」

それはもうさっき決めたはずだけど…
もしかしたら、私がうまくウェイトレスさんを出来ないと、この案はボツだったのでしょうか??



「そうだな…おまえは行きつけの喫茶店のウェイトレスで…」

それだけ言うと、那月さんは急に黙り込んだ。



「……その後のなれそめをどうするか、だな。」

なるほど。
だんだんわかって来たよ。
リアリティを追求する那月さんだもの。
喫茶店で顔なじみになっただけで、恋愛に発展するのはリアリティがないって考えたんだな、きっと。



「あの…私が那月さんのことを好きになり、アタックしたっていうのはどうでしょう?」

「おまえがどれほどアタックして来ても、俺はおまえを好きにはならない。」

なんて失礼な…!
はいはい、そうでしょうとも。
私みたいな地味な女がアタックしても、そりゃあなびかないですよね。



「もっと、現実的ななれそめじゃないと…
そうだ…たまたま、おまえが老人の荷物を持って、手を引きながら歩道を歩いていたところを見かけたことにしよう。
お前の外見に惹かれるというのはあまりにも無理がある。
内面に惹かれたという設定でないと、説得力がないからな。」

「そうですよね…」

そこまでストレートに言われたら、清々しいってもんだ。
私はもうへらへらと笑うしかなかった。


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