占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
「そのことをきっかけに、なんとなく気にかかり始めて…
そうだ…ある時、偶然、どこかで会ったことにしよう。
どんな出会いが良いか……
うん、病院の傍にしよう。
おまえは、病気の母親の面倒をみていた。」

那月さんにはもちろん悪気はなかったんだと思うけど、それはまさに現実のことだったから、私の胸はちくりと痛んだ。



「……どうかしたのか?」

「え……あ…あの…私のお母さん…本当に病気してて…」

私がそう言うと、那月さんの瞳が一瞬大きくなった。



「そうだったな。
お前の両親は他界したと聞いていた…
そうか、それは最近のことだったのか……すまなかった。」

「い、いえ…」

那月さんって、妙に素直なところがある。
きついことを平気で言うわりには、悪いと思ったらすぐに謝ってくれるから、なんだかこっちが恐縮してしまう。



「お前の家族のことを話してくれないか?」

「え…つまらない話になりそうですが良いですか?」

「そんなことは気にするな。」

「あ、ありがとうございます。」

私は、ゆっくりと家族についての話を始めた。
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