占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
お父さんは私がまだ小さい時に亡くなり、それからは母一人子一人で慎ましく暮らして来たこと。
七年前にお母さんに悪い病気がみつかって、五年前に亡くなったことを私は話した。



「そうか…お前も苦労したんだな。」

「いえ…そりゃあ、確かに貧乏な生活でしたが、お母さんが病気になるまではそれなりに楽しかったですよ。
お金をためて、いつかハワイに一緒に行こう…なんて、夢も持ってましたし。」



そう…お母さんは、元々体が健康で、風邪すらも引かないような人だったから、まさかあんなに早く逝ってしまうなんて思ってもみなかった。
でも、体が弱ってから、私がお母さんを励ますつもりでハワイ旅行のことを言っても、もう反応しなかった。
愛想笑いさえ浮かべなかったよ…
きっと、行けないってことを本能で感じ取ってたんだろうな…



「なぜ、貧乏から脱出しようと思わなかったんだ?」

「え?」

それはとても意外な質問だった。
そんなことを聞かれるなんて、考えてもいなかったから、私は返事に詰まってしまった。
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