占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚
「ま、そんなところですね。」

那月さんはさらっとそんなことを言って微笑む。
たいした役者だね。



「あ、つまらないものですが、これ、新婚旅行のお土産です。」

那月さんはそれぞれに包みを渡した。



「なっちゃん、どうもありがとう。」

沙也加さん…本当に綺麗…
見るからに繊細で…男の人からしたら、こういうタイプは守ってあげたくなるんじゃないだろうか?
同性の私でさえ、なんかそんな気持ちになって来るもの。



「お茶なんかより、お酒を飲まないか?」

「あなた、まだお昼ですよ。」

「そんなこと、構うもんか。
那月君、良いだろう?」

「はい。いただきます。」

本当にきさくなお父さんだ。
テーブルの上には、すぐにお酒と美味しそうな料理が並べられた。



「ねぇねぇ、あかねさんは那月さんのどういうところに惹かれたんだい?」

「えっ!?」

急にそんなことを訊ねられて、私は一瞬喉が詰まりそうになってしまった。



「え…その…
行動力があるというのか、その…男らしいところとか…」

私は那月さんとの出会いを思い出していた。
曲がり角でぶつかって、そのまま実家に連れて行かれて…
そういうのを『行動力』と呼ぶのかどうかは疑問だけど、私は有無を言わさず連れて行かれちゃったもんね。
今、思い起こせば、なんだか笑える…
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