歪な光
やるべきことをもうしたんだ。





あとは、待つしかないよね。





二人で歩く時、虚しく足音だけ廊下に響いていた。





前を歩く瞬の表情は、全く見えない。それが、不安で仕方ない。





廊下を歩き、出口付近に母親と母親の彼氏の姿が私の目に勝手に映ってくる。






そのツーショットを見るだけで、私の足に重りがついたように、前に足を出すことが億劫になるんだ。






そんな私に気づいた瞬は、私だけに聞こえる声で、





「君を助けるよ。約束するから安心して」




瞬は少しだけ私に振り向くと、優しい笑顔を向けてくれた。






その表情に、私の鼓動は速くなる。
そして、胸の奥に温かい何かが私に降り注ぐ。






「期待してるよ」





私は素直になれず、茶化す言葉しか出てこない自分を悔やむけど、そんな私にも瞬はただ笑ってくれる。






でも、本当に期待してる。





あなたはきっと、私が待っていた人だって





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