歪な光
私と瞬の姿を見つけると、母は深々と瞬にお辞儀をした。





「ご足労、ありがとうございます」





「こちらこそ、毎度毎度、娘が本当に申し訳ございません」






母は申し訳なさそうに、何度も頭を下げる。私はいつもの光景にもう慣れて、何も感じなくなっていた。






そんな私の態度に、母は憤りを感じているのか、私の腕を掴み、私にも頭を下げ下げた。





「真白、あんたも謝りなさい」





私は渋々頭を下げ、

「すみませんでした」


と、心無い言葉を口にしてみた。







その後は、宮城といつもの説教に似た話しを聞き、家に帰らなければいけない。






警察署を出る時、ふと振り返ると、しっかり私を見ている瞬の姿を私も目に写し、渋々あの監獄のような場所へ帰っていった。





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