歪な光
私たちはそのまま少しの間、見つめ合っていた。それを、みかねてなのか、腕の中の白猫ちゃんが私の腕からすり抜け、警察官の方へ行った。





その警察官は、はっとしたように、白猫ちゃんを抱き抱え、私の方へ歩み寄ってきた。





近づいてくるだけで、鼓動が高鳴る。





私の中で知らない感情が疼きだす。





「雨なのに、傘ささないと風邪ひくよ」





彼はそういって、自分の着ているカッパを脱ぎ、私に頭から被せた。





そして、白猫ちゃんも私に渡す。





「とりあえず、パトカーになっちゃうけど、このままだと風邪引いちゃうからいこう」





そんな私たちに、水をさすように宮城はいつものように、私に怒鳴る。





「ったく、雨なのに傘ささないでふらつくバカがどこにいる。それにその猫どうするんだ」





宮城にはもう慣れた。まるで父親のような口調だ。それが、私には新鮮で面白く感じていた。






「雨にしたたりたいときもあるの、それより、誰?この、イケメン警察官」




私の問いに、話は後だと言わんばかりに、とりあえずパトカーへ向かった。雨宿りだ。






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