歪な光
「とりあえず、猫を署にもっていくことはできないだろ」






私の腕の中で、大人しくしている猫ちゃんを疎ましい表情で宮城は見た。





でも、私は手放す気は無い。





「せっかくできたお友達だから、一緒に連れて行ってくれないなら、私、ここで降りる」






そんな私に呆れ顔。





少しの抵抗ぐらいしたい。




「じゃあ、僕の家が近いので猫保護しましょうか?」






「えっ!?」





瞬の突然の提案、意外過ぎて私は宮城と同じ反応をしてしまった。





そんな私たちの反応に、瞬は少し照れたように話す。






「いや…猫可愛いですし、確かにこのままこの子もこんな雨で一人ならって…。だめですかね?」






遠慮がちに話す瞬に、私はますます興味が湧いてくる。






「いいなぁ。私も瞬ちゃんに保護されたい」






そんな言葉を口走ると、瞬は驚いて私を見つめ、次第に恥ずかしくなったのか視線を外されてしまった。そして、また宮城が怒ってくる。






「お前は、森岡巡査にたいしてちゃん付けはないだろ。全く…」






「だって、羨ましいんだもん」






そんな、私の駄々も通じず、とりあえず瞬の住むマンションに行き、瞬に猫を預けた。





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