歪な光
瞬は家に帰ると、とりあえず猫にミルクとパンをちぎってお皿にのせてあげた。






「ごめんな、何が食べれるかわからないから休み時間調べとくから、いい子に待っててね」





瞬はレインの頭を優しく撫でると、再び外へ出て、パトカーに戻った。






「パンとミルクあげたから、なんとか明日の昼くらいまでもってくれるといいけど」






パトカーに乗り込むと、瞬はそう言った。
本当に優しい人。






「これで、真白ちゃんも安心してくれた?」






瞬は優しい笑顔で私を見てくれる。その笑顔が私の心に温かなものを与えてくれる気がした。





「ありがとう、瞬ちゃん」






瞬の笑顔は、私の顔にも移る。こんなに、穏やかな笑みを浮かべる自分を私は知らない。





でも、笑顔になるっていい気持ちになるね。






「真白、森岡巡査かお巡りさんって呼べ。まったく」






そんな二人に水をさす宮城。憎めなけど、邪魔されたくなかった。






「はーい」






私はふてくされたまま、警察署へ補導されていった。




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