脳内☆彼氏
それから、私はせっちゃんと口をきくのをやめた。こっちから近付いて話かけなければ、向こうから寄ってくるはずもない。くみちゃんとはケンカする理由はなかったけど、くみちゃんも私に話掛けてはこなかった。

くみちゃんは私よりせっちゃんを選んだんだ、とか、元々私の事迷惑だと思ってたんだ、とかは考えないようにしていた。
私は最初から、いじめの標的になるのを避けるためにくみちゃんの側にいさせてもらってただけだ。くみちゃんと仲良くなれるなんて期待してない。


私はクラスで完全に孤立した。


今度はもうそれでもいいや、と思った。

それからは休み時間はずっと文庫本を読んで過ごした。お弁当も、文庫本を読みながら一人で食べた。

そしたら、それが結構楽なことに気付いた。本を読んでれば、心は本の世界に行ける。教室にいながら、教室から逃げ出せる。

一人うつむいてじっと座ってたら、皆に無視されてる可哀相な子に見えるけど、本を読んでたら、本を読むので忙しいから話し掛けないでね、ってフリが出来る。

うちの中学みたいにケータイ持ってくるの禁止じゃなかったら、ずっとケータイいじってるっていうのもありかも。

強がりでも、私は一人でいたくて一人でいるの、って姿勢。

気持ちだけは負けない。
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