脳内☆彼氏
「お前らは、全体練習続けとけよ。」
二ノ宮部長は皆に声を掛けてから準備室のドアを閉めた。縮こまって立っている私をチラッと見ると、キーボードの前に座って私のパート・アルトの最初の音を鳴らした。
「歌って。」
部長の指示に、私はボソボソと歌い出した。
「声出てない!」
仕方なく、私は声を張り上げて歌った。
歌い終えて、恐る恐る部長を見る。キーボードから手を離して、振り向いた部長は憮然としていた。
「…普通じゃん。」
「はあ…」
そう、一人だったり、自分のパートだけの練習だったら、私でも一応普通に歌える。
「なんで今歌えて、全体練習だと歌えないか分かるか。」
「…」
「分かってるよな。」
「はい、他のパートにつられて…」
「そう、お前ほとんどテノールで歌ってたぞ。」
「はい…すみません。」
全体練習では右からソプラノ、アルト、テノール、バスの順に並ぶ。私はアルトの端っこでテノールのすぐ隣りに立っている。
どうしても隣りのテノールにつられてしまうのだ。なんとかアルトの音程に戻そうとすると、余計変な音程になってしまう。
私の歌は、まるで私の性格だ。まわりの声に翻弄されて、自分が保てない。ていうか、自分がどんな人間なのかさえ分からなくなる…
「お前さ。」
部長の声に、私は我に返った。
「?はい…」
「俺の事好きだろ。」
「え?」
…えええええ~!?
二ノ宮部長は皆に声を掛けてから準備室のドアを閉めた。縮こまって立っている私をチラッと見ると、キーボードの前に座って私のパート・アルトの最初の音を鳴らした。
「歌って。」
部長の指示に、私はボソボソと歌い出した。
「声出てない!」
仕方なく、私は声を張り上げて歌った。
歌い終えて、恐る恐る部長を見る。キーボードから手を離して、振り向いた部長は憮然としていた。
「…普通じゃん。」
「はあ…」
そう、一人だったり、自分のパートだけの練習だったら、私でも一応普通に歌える。
「なんで今歌えて、全体練習だと歌えないか分かるか。」
「…」
「分かってるよな。」
「はい、他のパートにつられて…」
「そう、お前ほとんどテノールで歌ってたぞ。」
「はい…すみません。」
全体練習では右からソプラノ、アルト、テノール、バスの順に並ぶ。私はアルトの端っこでテノールのすぐ隣りに立っている。
どうしても隣りのテノールにつられてしまうのだ。なんとかアルトの音程に戻そうとすると、余計変な音程になってしまう。
私の歌は、まるで私の性格だ。まわりの声に翻弄されて、自分が保てない。ていうか、自分がどんな人間なのかさえ分からなくなる…
「お前さ。」
部長の声に、私は我に返った。
「?はい…」
「俺の事好きだろ。」
「え?」
…えええええ~!?