脳内☆彼氏
(分かった風に説教する捨華なんか嫌い!)

私はベッドに入って布団を頭まで被り、漫画雑誌を開いた。でも、読んでも全然内容が頭に入ってこない。さっきの捨華との会話ばかりが、頭の中をぐるぐる掻き回していた。

先輩達が、私が部長に告った、なんて言い出したのは、部長がデタラメを言いふらしたからだと思っていた。思いたかった。でも本当はきっと違うんだ。



「他に場所がないから」なんて言い訳して、毎回部長の横に立って歌ってた私を先輩達はちゃんと見てたんだ。

それで部長に私を呼び出して、部長の事が好きなのか聞くようにけしかけたんだ。

部長が後で先輩達に報告したのか、誰か盗み聞きする役の人がいたのかはわからない。

でも、あの時の私の受け答えは、きっと告ったのと同じ事に聞こえたんだ。


…皆が私をはめたんじゃない。私が無防備すぎたんだ…


…怖い…


私は布団の中で、ギュッと丸まった。


私の姿は、行動は、態度は、全ての人の前に晒されている。一人で文庫本を読んで、現実世界を遮断した気になっている間も、一人で文庫本を読んでいる私の姿は、クラス中の視線に晒されていた。


…世界は悪意に満ちている…


私は心を閉じる方向を間違った。内側に閉じて妄想を遮断している場合じゃなかった。外側の壁を厚くして、他人に弱みを見せない事に注意するべきだったのに。


…私はバカだ。
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