鬼部長に溺愛されてます

「俺が麻耶の誕生日を知らないわけがないだろう。ずっと黙っているつもりだったのか?」


そういえば、私の好物もちゃんと知ってくれていたっけ。
連れて行ってくれた小料理屋で鶏料理をチョイスしてくれたことを思い出した。


「桐島さんの負担になりたくないから」

「バカだな」


桐島さんに引き寄せられ、その腕に包まれる。


「寂しい思いをさせたな」


彼が優しく髪を撫でるから、これまでの不安が一気に吹き飛んでいく。
好きなのは私ばかりと思っていたことが嘘みたい。
想いが通じるずっと以前から、桐島さんも私を好きでいてくれたことが私に大きな自信をつけさせる。


「私、桐島さんのことが……大好きです」


桐島さんの手が私の両頬を包み込む。
そのまま額をコツンと合わせて「俺もだ、麻耶」と言うなり、唇同士が重なった。

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