鬼部長に溺愛されてます
「そのケーキ、食べてもいいですか?」
ベッドサイドに移動してきた小さなテーブルに置いたケーキを指差すと、桐島さんはホールケーキをフォークで切り分けて私に食べさせてくれた。
「……おいしい。桐島さんは?」
「俺はいい。甘いものは苦手だ」
「そんなこと言わずに。はい、あーん」
今度は私が有無を言わさず彼の口元へケーキを持っていくと、桐島さんはしぶしぶといった様子で口を開けた。
そして途端に顔をしかめる。
「……やっぱり甘いな。同じ甘いものなら、俺はこっちの方がいい」
そう言って不意打ちで私に軽いキスをした。
「ちょっと、桐島さん!」
「なんだ、麻耶は俺のキスよりケーキの方がいいってわけか」
「そういうことじゃなくて」
手振りをつけて返すと、彼がふと真顔になった。