鬼部長に溺愛されてます
私とは対照的に落ち着き払った彼の様子に、さらに私のカッコがつかない。
「取れたぞ。今日一日絆創膏でも貼っておけば大丈夫だろう」
「はい……」
小さく返事をして上目づかいに部長を盗み見ると、ほんの一瞬だけ微笑みが浮かんだように感じた。それは、メガネを着ける前の本当に一瞬だけ。
切れ長の目元に浮かんだ見逃してしまうほどの小さな表情の変化に、思わず見とれてしまった。
「どうしかしたのか?」
ポカンとしている私に桐島部長が次に見せた表情は、いつもの冷淡な顔そのものだった。
「あ……えっと、ありがとうございました」
「後はもういいぞ」
彼が素っ気なく言う。
「はい?」
「同じことを何度も言わせるな。ここはもういいと言っているんだ」