鬼部長に溺愛されてます

ということは、桐島さんとふたりで入るってこと……?


「今日は麻耶と全然一緒にいられなかったから、ふたりだけの時間を取りたくてね。宴会の前に予約を取っておいたんだ」

「む、無理です!」

「なにを今さら」


今さらもなにもない。
明るい場所で桐島さんに裸を見られるなんて、絶対に無理!

今までだって、一緒にお風呂なんて入ったこともないのだから。


「麻耶のすべては知ってる」


桐島さんが意地悪に微笑むから、そのセリフに耳までカーッと熱くなった。


「ほら、入るぞ」


強引に肩を抱かれて鍵まで閉められ、桐島さんがそそくさと浴衣を脱ぎ始める。
あらわになった肩先にドキッとして、思わず目を逸らした。


「麻耶、早くおいで」


露天から声が掛かる。

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