鬼部長に溺愛されてます
そんなことを言われると、余計に妙な妄想をしてしまうからやめてほしい。
桐島さんが首筋に唇を這わせるから、心臓がこれまで経験したこともないほど早鐘を打ち始める。
今日一日ずっと桐島さんをお預け状態だったせいで、嫌でもその先を期待してしまう。
ただ、なんだかクラクラしてきたのは、そのせいだけではないのかもしれない。
少し熱めの湯加減のせいか、そのまま浸かっているのも辛くなってきた。
「桐島さん、ごめんなさい、私……」
そう言って立ち上がろうとしたところで、急激な眩暈に襲われた。
「おい、麻耶!」
桐島さんに抱き止められた感覚のまま、意識は遠ざかっていった。