鬼部長に溺愛されてます
番外編③:天罰はお手柔らかに
新年が明けて二週間。
桐島さんと初詣の時間が取れたのは、成人の日を含んだ連休中のことだった。
賑やかさも収まりつつある神社は、次第に静けさを取り戻しているように見える。
神聖な気持ちになるのは、新しい年を迎えたからなのか、それとも凛とした空気に包まれるせいなのか。
寒さでかじかんだ指先にハーッと息を吹きかけると、桐島さんは黙ってその手を握ってくれた。
温かい手に包まれて体温を取り戻していく指先。
見上げた桐島さんの横顔は穏やかに微笑んでいて、幸せな気持ちが溢れていく。
ふたり並んでお賽銭を投げ、鈴をカランコロンと鳴らした。
今年も一年、桐島さんのそばにいられますように……。
願いを込めて手を合わせる。
「なにを願ったんだ?」
「内緒」
もったいぶって言うと、桐島さんは鼻を鳴らして笑った。
「桐島さんは?」
「麻耶の寝相が良くなりますようにって」