鬼部長に溺愛されてます
「そっか」
誠吾が目に見えて落ち込む。
なにもそこまでガッカリしなくてもいいと思う。そりゃあ、彼女と比べたら私なんてチンクシャな女でしょうけど、比べる相手が間違えている。
そのミオリと誠吾が恋人同士なんてことがばれたら、異動はもちろん会社中の男性社員を敵に回すことは確実だ。
「本当に気をつけてよ? ついこの前だって社内恋愛がばれて、ひとり出向させられてるんだから」
ミオリが興味津々に走って見にいった掲示板には、私たちの想像どおりに社内恋愛の罪を問われた男性社員の末路が掲示されていたのだ。
課長職のその人は、関連会社とはいえ物流の倉庫番という職位に降格。
ミオリからその報告を受けて、理不尽とも思える人事異動に震えあがってしまった。
それと同時に、桐島部長への恋心が届く可能性は限りなくゼロに近いと改めて思わされた。
「そんなのわかってるさ」
耳にタコだとでも言わんばかりの顔を誠吾がする。