鬼部長に溺愛されてます
「それなら……私も探すのを手伝います」
私は勢いよく席を立ち上がった。
滅多に見ない困った顔をしている桐島部長をこのまま放っておけるわけがない。
「いや、その必要はない。遅くなるから帰るといい」
意気込んだ私を彼があっさりと断る。右手をひらりと振り、桐島部長は私に背を向けた。
私も頑固なのかもしれない。そういう態度を取られると、意地でも残って探したくなってしまう。
「大切な書類なんですよね? それならふたりで探した方が効率は良いですから」
その背中にもっともな言葉を掛ける。
普段から『効率アップ』だと掲げてるのは、ほかでもなく桐島部長なのだ。
「それに機密書類を私が先に見つけたからといって、中身を見るような真似はしません」
どうしても私の方が必死になってしまう。
部長と一緒になにかをできるなんて、そうそうあることじゃない。