鬼部長に溺愛されてます
彼女は人事部に二年間在籍し、その後私と同じ総務部へ異動してきた。
長い栗色の髪に目鼻立ちのはっきりとした美人のミオリは、スタイルもモデル並みに良く、社内ではとても目立つ存在だ。
でも、その容姿を鼻にかけることもなく性格もさばけていて、男子社員のみならず女子社員からも慕われている。
私は、これから行なわれる人事部のミーティングの準備で会議室へ向かう途中だった。
プロジェクターを使用するとの要請が昨日入っていて、そのセッティングのためだ。
総務部を出るときに電話中だったミオリは、急いで追いかけてきてくれたらしい。
「あ、もう降ってきたんだ」
ミオリが大きな目をさらに見開いて、窓に駆け寄り空を見上げる。
「うん。本当に積もらないのかな」
「どうだろうね。この分だと怪しいかもしれないよ」
こうして見ているうちにも、雪は粉雪からぼた雪に変わっていく。いかにも積もりそうな雪だ。
会議室の準備のことを忘れてふたりで空を見上げていると、私たちの後ろを女子社員が通りがかった。